夜も11時を過ぎると、今宵の月の姿はもはやなく、屋根の横に星がいっぱい、いっぱい、またたいている。
まるで夢物語みたい。
ふいにそんな言葉が浮かんだけれど、一般的に外から見られている自分の状況を想像すると、おもわず苦笑する。
それにしても、屋根越しのオリオン座が本当にきれいで、キラッキラしている。
そして空に見惚れる気分をスペシャルに上げてくれるのは、「黒猫」が、すぐそばにいるからだ。
近頃、我が家に入り浸るこの黒猫くんは、私のそばに、近すぎず、遠すぎない距離をたもちながら、でも一緒に、チリリとした空気を吸う。
軽く伸びをしたり、背中をふくらませたりするこの若い猫をみているだけで、ただもう無償に、幸せな気分になってしまう。
家の中にいる犬たちと、なんでかこの場所を選んでくれたらしい黒猫と、いつもいつも、本当にいつも、私のことが大好きだとアピールしてくれる鳥がいて。
だからやっぱり、美しい夢物語の中に、いるような気がするのだ。
愛する動物たちに愛されている(かもしれない)この幸せ感。に、やられそう。
まったく、私はなんて、動物狂(生き物好き?)なのかしら。でもほんとに、酔いしれそうだ。
またあらためてオリオン座を見上げたら、オリオン座が、さっきよりずいぶん場所を変えている。
あれ?そんなに長く時が経ったのだろうか。
いやいや、私の首が、ずいぶん傾げてきていた、だけだった。