"おごり"というのは、やっかいなものだ。
食事をおごる、という時の"おごり"ではない。自分の心の中に起きるやつだ。
世の中的に、ちょっと苦しそうとか大変と思われる経験は、のちに自分の宝物になるような"糧(かて)"に変わると、思っている。
でも、そうした経験が一個増えるたびに現れるのが、この、やっかいな"おごり"だ。
私はこんな経験をしたから、って、目の前の誰かよりも自分の方がすこし多くの学びや糧を持っているような、そんな感じの思い込みが、ときに、むくむくと上がってくる。
苦しい経験だけではない。
人があまりしていないようなジャンルで学んだ事があると、これまた、何かの拍子に"おごり"モンスターが出てきて、気づかぬうちに、マインドコントロールをしてくる。
困ったやつ。
知らないフリをすることはない。私が通った道は確かに通った道。その知識が役に立つことがあるなら、おおいに誰かのために、使いたい。
でも、だからといって、その誰かより私の方がエライわけでもなんでもないってことを。
目の前の誰かには、彼、彼女の通ったオリジナルの道があり、そこを未体験の私にとっては、その彼、彼女がまた先生であるってことを。
忘れずにいたい。