先週、ずっと車の右のドアミラーに、巣を作り続けたクモくんのお話。
毎朝、私はなおぽんを後ろに乗せて運転席に乗り込み、発車してから、それに気づくのです。
あ、今日もまた見事な巣が張ってある、と。そして慌てて、開けかけた窓を閉めるのです(ほら、まちがって入ってきちゃったら困るし)。
小さいけれど毎朝、それは見事な巣が出来上がっていました。当のクモくんは、たいてい姿が見えません。でも一度、運転中にちらりと目をやると、何を間違えたか壊れかけの巣にしがみついた本人(クモ)がいるではありませんか!
猛烈な風にゆられ、振動にゆられ、もう崩壊寸前の数本の糸にしがみついて丸くなっています。揺れるたびに、クモ自身の重さでより振動が大きくなっているのが見て取れます。どんどん、どんどん、振れ幅が大きくなるのです。クモは、もうあらん限り、小さく丸くなって、ただ必死につかまっているようでした。
幸い、この時は信号待ちに入り、さっと、ミラーの後ろへ逃げ込むのを確認し、私もほっと胸をなでおろしたのでした。
ところがです。
ついに、その時がきてしまったのです。
数日前、再び走行中に、かのクモくんがまた壊れかけの巣に、しがみついているのを発見しました。彼(彼女)は相変わらず毎朝きれいなハンドサイズのクモの巣をかけ続けていたわけですが、なんてこと、信号中にまたうっかりと出てきちゃったのでしょう。
前回は無事に切り抜けたし、と、油断をしていた、その直後。
ふと気づけば、ブンブンと大きな揺れにしがみついていた、クモくんの姿が、ない!
ながい一直線の2車線道路の真ん中で、クモくんは、きえました。
どうかどうか、吹き飛ばされた先で、急いで道端に駆けて行っていて、ほしい。
どうかどうか、行き交う車の下をひょうひょうと縫い歩き、無事に緑地にたどり着いていて、ほしい。
クモや虫は、けっして得意ではないけれど(さわれないです)、毎朝ドアミラーにかけてあったあの、キラキラしたクモの巣が、もうみられないのだなぁ・・と思うと、なんだかとても、残念です。