恐竜注意
ちょっと海が見たいと思った。
郵便局に行くという立派な口実を片手に,用事を済ませた後,そこから数百メートル先の海が見える広い公園へと,立ち寄った。
驚いたことに,しばらく来ない間にその公園の一角に,恐竜がたくさん卵を産み付けていた。
やばい。
まもなくこの辺りは危険地帯になるだろう。 どこかで鳴き声まで聞こえる。
不要不急の外出を避けて。そう声高に叫ばれて久しい。
重心の子がいるファミリーの常として,ずいぶん前から,行きたいところになかなかいけない,容易に外出ができない日々を送ってきた。
いわば,その道の(なんの道だ)プロだ。
そのツラさは,痛いほどよく分かる。
マスクをして虫取りアミを握る少年と,幼い兄弟をベビーカーでおしながら歩くお父さんをみて,思った。
パパ,ママ,なんとかこの時期を,乗り越えてくれ。
「いろんなところに連れていってやりたい,経験させてあげたい。それにそもそも,ずっと家にいて,親だけでみるなんて,ムチャクチャすぎる・・・。」
そんな心の悲鳴がきこえるみたい。ほんとに,わかる。
でも,きっとなにか方法があるし(そう,広い公園とかなら行ってもいいと思う),そのときそのとき,最善なことをしていくより,他はない。
勇気を出して鳴き声のする方へいってみたら,ネットで覆われた一角に恐竜らしきものがわんさといる気配。
入場料600円とある。
そーーっと網から目をこらし,どんな様子かしらとうかがう。足元は?バギーでも通れるのだろうか?あ,ふかふかのチップが敷いてある・・こりゃ,通れなくはないけどけっこう大変なパターンだ。
そしてふと思った。そもそもうちの子達,もうこの手の場所を喜ばないんじゃあ・・・。
なんだか,この2年近くの時の流れがちょっとフシギな気がして仕方ない。そしてそのフシギに(親の方が)のまれている間に,小人から中人へ。着々と子らは,成長,いや変化していくんだ。この地球の変化とともに。
結局,海をみるのを忘れていたと,帰りの車中で気がついた。